これは圏です(はてな使ったら負けだとおもっていた)

きっと何者にもなれないつぎの読者につづく。

市長市のパラドックス

数学の危機の一端をひらいたものとして、ラッセルのパラドックスは中々有名です。リシャールだとかベリーだとかに比べてちょっとややこしいので*1、色々な喩えで説明されることが多いですが、一番ポピュラーなのは市長市のパラドックスだと思います。

これはこんな奴です。


世の中には自分の治める市にキチンと住んでいる市長と、他のところに住んでる酔狂な市長がいます。
この度、地方制度改革の一環として、そんな他所に住んでいる市長だけ集めた市長市を設置することになりました。御上のやる事なので、意味を問うてはいけません。意味のあることをやる筈がないじゃないですか!兎に角設置するんです!

まぁそんな訳で設置しましたね?設置しました。さて、この『市長市』、市であるからには市長を決める必要があります。そこで選挙をします。血税を大量に投入した選挙を行なった結果、エム主党のエヌ氏がトップ当選を果し、負けたJ民党は衆院を解散しました。解散するために市長市をつくったのですから当然です。

目出度く当選したので、ここは景気良く市長官邸をつくろうと思います。地方分権当然の帰結としてどんな市の市長にも立派な官邸をつくる必要があります。更に景気刺激と云う事で、色々お金を掛けなくてはなりません。ジャグジーとか付けます。ライオンがお湯をだーって出したりとか色々。
ゆめがひろがりんぐーですが、色々妄想をたくましうする前にまずは場所選びです。市内の名所をリストアップし、ここだ!という場所を見つけました。夕日が綺麗で朝日が綺麗です。近所にかわいい女の子が住んでます。最高ですね。近くに無農薬有機野菜の直売所があります。無機の野菜なんて形容矛盾ですが、兎に角有機です。無農薬なので虫が食ってます。

というわけで、その場所に相応しい官邸の設計図を、当代切っての天才建築士に依頼し、あとは官邸を建てるだけとなりました。

ところが、ここに問題が発生しました。みんな忘れてましたが、そもそも市長市は、『自分の治める市に住んでいない市長だけ』が住まう市でした。それなのに、そこに官邸を作って住んでしまったら、『自分の治める市に住んでいる』事になり、従ってこの市には住めない事になります。矛盾だ!

これは、官邸を市長市に作ろうとしたのが悪い!という事で、今までの計画を白紙にして、市外に官邸をつくる事にします。予定地だったところにはアニメの殿堂でも建てることにしましょう。ジャグジー付きの。

という訳で、市外に住処を求めるべく、近隣地域の土地を探し始めました。今度は駅から五分でプライベートビーチ付き、近所にきれいなおねいさんの住んでいる場所が見つかりました。素敵!今度は家庭菜園までついてます。ろはす!

今度は、全時空一と噂されるカリスマ美容師に設計を依頼しました。カリスマなのですべからく美容師です。設計は余技です。

そして長い時間を掛けて、ボスフォラス以東にただ一つと云われる豪壮を極めたケルトルネサンス式のさいきょう官邸が完成しました。さて、それでは早速引越し……

ところで、またもやみんな忘れてましたが、市長市は『自分の治める市に住んでいない市長だけ』が必ず住まなくてはいけない市です。この市長も、市外に官邸があり市内に住んでいないので、市長市に住まなくてはなりません。という訳で、市外はやめて市内に官邸を建てることにしましょうそうしましょう。さいきょう官邸はなんか資料館兼テーマパークにでもすればいいんじゃないでしょうか。ミステリマニアに売るのもテですね。

という訳で、市内に官邸を建てます。まずは場所選びです。市内の名所をリストアップし、ここだ!という場所を見つけました。夕日が綺麗で朝日が綺麗です。近所にかわいい女の子が住んでます。最高ですね。近くに無農薬有機野菜の直売所があります。無機の野菜なんて形容矛盾ですが、兎に角有機です。無農薬なので虫が食ってます。

という訳で、その場所に相応しい官邸の設計図を、当代切っての天才建築士に依頼し、あとは官邸を建てるだけとなりました。

……って、あれ?このはなしどっかで見た気が……?そうだ、最初の官邸(今のアニメの殿堂)を建てようとした時とそっくりじゃないですか!たしかあの時は市内には住めないということになったのでは……?


こうして、市長はどこにも住めなくなってしまいましたとさ。ちゃんちゃん。と云うのが市長市のパラドックスです。

これに対する数学者たちの出した回答は『市長市は市ぢゃない』と云うものでした。


しかし、市長市のパラドックスに限って云えば、他の解決方法も有ることを思い付いたのでこの記事を書き始めたのですが、よくよく考えたら全然解決になっていなかったので、この記事はここで終わりです。

*1:この二つ、どっちがどっちかよく判らなくなる